主人公は上野、不忍池で偶然知り合った中国の女性と互いに惹かれ合って結ばれる。
だが、結婚を前にして彼女は倒れ植物人間となる。治る見込みは無いながらも主人公は婚姻届を出し、妻の面倒を見る。
10年の歳月は流れるが、いまだ目覚めぬ妻を看病し愛おしむ。
主人公の看病に、たまに瞼を動かす妻の反応を確かめるように。
そしてその反応を彼女の自分に対する祝福であると感じ取る。

坂本真典氏の500枚の蓮の写真を見せられ、それを題材に玄侑が書き下ろした短編小説。蓮の写真と小説のコラボレーションである。
ふんだんに挿入された蓮の写真が妖しくも哀しく物語を引き立てる。

祝福