介護付き有料老人ホームにいる知人を見舞った。

3ヶ月ぶりである。

部屋に入ると、「どなたでしたっけ」と言われた。

名前を名乗ると「おお、そうでしたっけ」と返事が来た。

知人「今、どんな仕事をしてますか」

散人「もう何もしていませんよ」

知人「〇〇大学を出た後はどこに就職しましたっけ?」

(散人が出た大学を知っているということは私のことを全く認識していないことはないようだ)

その後、色々と話をするが噛み合わない。

持参した、彼の好物のコーヒーやプリンはまたたく間にたいらげた。

知人「冷蔵庫にバナナが入っているから食べようか」

冷蔵庫を開いたが入っていなかった。

話していて、昔の記憶は蘇るようだが最近の記憶は出てこない。

テーブルの上には「ニュヨークタイムズ」が積んである。

彼は米国滞在が長く帰国してからもこの新聞は欠かさず読んでいた。

今は、読んだ気配はあるが記憶に残っているのかどうかは疑わしい。

3ヶ月前より症状は更に進んでいるようだ。

この先が思いやられる。

なるだけ頻繁に見舞ってあげよう。